株式会社ステリック再生医科学研究所

各ページタイトル10.jpg

 近年の研究により糖鎖は発生、恒常性維持、炎症、免疫および癌などの生体反応において要となる生体物質であることが明らかになっています。糖鎖は生体内において細胞−細胞間、細胞−基質間のコミュニケーションにとって欠かせない役割をもつため、先天性障害だけでなく様々な後天的な疾患に関与しています。例えば、1)再灌流障害、アテローム性動脈硬化、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、急性呼吸窮迫症候群などの炎症におけるセレクチン、2)変形性関節炎、関節リウマチ、乾癬、強皮症、炎症性腸疾患などの炎症におけるグリコサミノグリカン、3)腫瘍の増殖、変異、血管新生、転移におけるN-結合型糖鎖、4)糖尿病、IgA腎症、アルツハイマー病におけるO-結合型糖鎖などが既に報告されています。

 ヒトを構成するほとんど全てのタンパク質は、翻訳後修飾により糖鎖複合体が付与されており、21世紀の新しい医薬品開発にとって優れた治療標的となることが期待されています。しかし、in vivoにおける糖鎖修飾は従来の治療標的に比べ未開拓の領域です。ステリックはそれを克服しin vivoでの糖鎖修飾を成功させるため、糖鎖遺伝子に対し戦略的なアプローチを行いました。

 “糖鎖遺伝子”とはタンパク質、脂質を糖化する遺伝子で、1)糖転移酵素、2)硫酸基転移酵素、3)糖分解酵素、4)糖ヌクレオチド合成酵素、5)糖ヌクレオチド輸送体、6)レクチン様糖鎖認識分子の遺伝子を含みます。現在180以上の遺伝子がクローニングされ、各遺伝子の機能解明は国家プロジェクトの一部としてKOマウスを用いた研究などにより現在行われています。

 当社では化学的に糖鎖修飾を行う代わりに、様々な線維化疾患モデルを用いた網羅的なRNA干渉により糖鎖遺伝子の機能を明らかにする研究を行っています。その結果、私たちは線維化治療に対する新しい治療標的として、”G family“と名付けた調節的な働きをする糖鎖遺伝子群の同定に成功しました。糖鎖遺伝子の発現度合いは他のタンパクなどの分子に比べて弱いため、低用量で効果的な抑制効果を得ることができます。さらに各糖鎖遺伝子は疾患の状態により組織特異的に発現が上昇しています。そのため、組織特異的に発現が上昇している糖鎖遺伝子を選択的に抑制することで、正常な組織の糖鎖遺伝子の働きを妨げることなく治療が可能となります。これにより糖鎖遺伝子に基づいた治療が高い安全性のもとで可能であることが示されました。

ページの先頭へ