炎症性腸疾患の研究で新潟大学と提携 〜難病治療に向けて本格始動〜

株式会社ステリック再生医科学研究所

株式会社ステリック再生医科学研究所(代表取締役社長:工藤吉尚)、以下ステリック)は、新潟大学大学院医歯学総合研究科との間で、「炎症性腸疾患に対するsiRNAを用いた遺伝子サイレンシング(*1)治療の確立」に関わる共同研究契約を締結致しましたのでお知らせ致します。

この共同研究は、ステリックの「線維化(*2)プロジェクト(*3)」の成果であるsiRNAを用い、新潟大学と炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎(*4)やクローン病(*5))に対して独自の遺伝子サイレンシング治療の研究を展開していくものです。

潰瘍性大腸炎やクローン病は難病に指定されている疾患であり、その原因は未だ十分に明らかにされておらず、有効な治療法が待ち望まれています。
 ステリックは、その炎症性腸疾患における線維性変化を抑制することが、新しい治療法として非常に有効であるという点に着目致しました。そして、ステリック研究の基盤である「幹細胞ニッチ(*6)の研究」から、この「線維化」の病因分子ファミリー(*7)を突き止め、この難治性疾患に対する画期的な治療への道を開くことに成功し致しました。

「線維化病変」は、炎症性腸疾患のみでなく、難治性の心筋症・アルツハイマー病・COPD・肝硬変などにも共通する慢性炎症の総称として捉えられることが、最新の研究により明らかとなりつつあります。ステリックでは、その線維化病変に対する病因分子の同定に成功しました。今後更に創薬など治療法の確立を目指していきます。

新潟大学との共同研究では、ステリックの「線維化プロジェクト」により同定された炎症性腸疾患の病因遺伝子の発現を抑えるsiRNAを用いて、人体への安全な使用を目指した遺伝子サイレンシング治療研究を行っていきます。

同時にステリックは、本件に関するsiRNAの合成(GMP(*8)グレード)に着手しました。今後は更なる開発への展開を目指し、少しでも早く炎症性腸疾患に苦しむ方々への有効な新規治療薬を提供できるよう努めてまいります。


【用語解説】
(*1)siRNAを用いた遺伝子サイレンシング
RNA干渉。
DNAの遺伝情報が、いったんmRNAへ写し取られ、病気の原因となるたんぱく質などができる。siRNAを細胞内に入れるとmRNAを分解し(干渉)、遺伝子の働きを阻害する。病気の原因遺伝子の働きだけを抑えこめば、副作用が少なく、効果の高い薬が期待できる。実用化研究では米国が先行、加齢黄班変性症等の眼疾患を対象に臨床試験が進む。
2006年のノーベル生理学・医学賞は、RNA干渉を発見した研究者に贈られた。RNA干渉は、高い効果を発揮する治療方法としての期待が強く、現在大きな注目が集まっている。

(*2)線維化
生体内の各臓器に起こりうる慢性炎症の総称。
難治性の呼吸器疾患、循環器疾患、代謝性疾患等、神経性疾患等、多岐に渡り、最終的に臓器の機能不全に陥る。

(*3)「線維化プロジェクト」
ステリックでは、「幹細胞ニッチ(*6)」の研究により、組織再構築の鈍化・不要な物質の蓄積が、「線維化」における機能不全の病態であることを見出しました。そして、その原因物質である分子ファミリーを突き止め、それを標的とした新規治療薬の研究を行っております。



(*4)潰瘍性大腸炎
主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する原因不明の大腸のびまん性非特異性炎症である。30歳以下の成人に好発し、小児や50歳以上の年齢層にもみられ、その患者数は年々増えている。原因は不明で、免疫病理学的機序や心理学的要因の関与が考えられている。通常血性下痢と種々の程度の全身症状を示す。長期にわたり、かつ大腸全体を侵す場合には悪性化の傾向がある。多くの患者は再燃と緩解を繰り返すことから長期間の医学管理が必要となる。治療法としては薬物による内科的治療があるが、それに反応せず改善が見られない、あるいは症状の増悪が見られる場合には手術適応を検討する。しかし、日常生活に制限が必要な状態となる人も多く、QOLの維持が困難な人も多い。

(*5)クローン病
主として口腔から肛門までの消化管全域に、非連続性の炎症および潰瘍を起こす原因不明の疾患である。 本疾患における病変は消化管の粘膜から漿膜までの全層を侵し、進行すると腸管が狭くなる狭窄によって腸閉塞をきたすことや、腸管に穴のあく穿孔や瘻孔(ろうこう)、それらに膿が溜まった膿瘍ができることがある。潰瘍性大腸炎とともに炎症性腸疾患 (IBD : Inflammatory bowel disease)に分類され、また同様に厚生労働省指定の特定疾患のひとつである。

(*6)幹細胞ニッチ
体性幹細胞を維持する特殊な環境。  体性幹細胞へシグナルを伝達し、組織再構築に深く影響を及ぼしているとされるが、多数の臓器に於き、その分子基盤や存在場所は十分に明らかにされておらず、最先端の研究分野として注目を集めている。



(*7)分子ファミリー
機能や性能、分子基盤等が共通している分子群のこと。 ステリック独自の研究により線維化病変の原因となる分子群を同定。この分子群を標的とした研究を行うことにより、線維化病変治療薬の研究開発を行うことができる。(上記(*2)「線維化プロジェクト」参照)

(*8)GMP
Good Manufacturing Practiceの略。薬事法に基づいた、厚生労働大臣の定めた医薬品の製造・品質管理の基準。

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